モルドヴァも相当マイナーな国だと思いますが、実はそれ以上に知られていない国があります。
それが沿ドニエストル共和国。
英語表記ではTransdniestrです。
モルドヴァ共和国の中にあるのですが、住民はロシア系、ウクライナ系を合わせると、モルドヴァ人よりも多いので、モルドヴァ共和国の他の地域とは一線を画する存在です。
国際的には認められていないため国といってよいのかはわかりませんが、モルドヴァ政府の実行統治は及んでいないため実質的には独立国と同じです。
そのためモルドヴァ共和国と沿ドニエストル共和国との国境ではパスポートチェックが必要であり、ここの国境がおそらくヨーロッパで最も悪名高く、実は昨日オデッサからの国際バスで迂回路をとったのも沿ドニエストル共和国を避けたかったため。
そういう国(というか地域)にあえて行くこともないかと思いますが、宿で仕入れた情報では最近ではかなり状況も改善されており、賄賂無しで何人も行き来してきたとか。宿のおねえさんも大丈夫だと言ってくれたので、とにかく行ってみることにしました。
ちなみに同じ宿に泊まっていたスペイン人の女の子はやっぱり怖いから・・・と断念してしまいました。
それを聞いて、ちょっと心が折れそうになりましたが、とにかく気を取り直してバスステーションに向かいます。
なお沿ドニエストル共和国行きのバスは、昨日到着した北バスステーションではなく、街の中心からも近いセントラルバスステーションから出発します。
9時20分発のバスのチケットを購入し、いざ出発を待っていたのですが、時間になっても出発せず。なぜか別のバスに乗り換えることになり、結局キシニョフを出たのは10時前。
行く前からちょっと嫌な予感がします。
それでもバスは順調に沿ドニエストル共和国の首都ティラスポリに向かって走り続けます。
そしてついに緊張の入国審査。
外国人はわたしと、バスの後ろの方に座っていたフランス人っぽいおばさんの二人。
審査の間中ずっとドキドキしっぱなしでしたが、少し質問されただけで、あらかじめ用意していた入国カードにスタンプを押してもらい、無事通過することができました。
ガイドブックによると200ユーロ要求された人もいるとか書かれていたのですが、わたしがたまたま運が良かったのかわかりませんが、とにかく賄賂も何もなく入国できてよかったです。
そして約2時間後終点である、ティラスポリ駅前のバスステーションに到着しました。
新しい土地に興奮しつつも、朝キシニョフを出た時には青空だった空が、雲が覆われてしまっている天気に少し気落ちしてしまいましたが・・・。
とにかく街歩きを始めます。
手始めにバスステーションのすぐそばにあるKirov Parkへ。
公園は整備はされているのですが、天気のせいや人が少ないこともあってなんとも寂しい雰囲気。
さらに物哀しい気持ちになってしまいましたが、気を取り直して街の中心の方に歩いていきます。
大統領官邸。
そして戦争記念碑。
やはり天気が悪く、人通りも少ないのでどうしても寂しく感じてしまいます。
個人的に沿ドニエストル共和国の首都ティラスポリで一番印象に残っているのがこちらですね。
1792年というのはこのあたりがロシア帝国の一部に加わった記念すべき年だそうで、やはりいまだにロシアの影響力の強さがうかがえますね。
ここではロシア語が一般的ですし、通貨もモルドヴァ・レイではなく独自の沿ドニエストル・ルーブルを使用しています。
わたしもほんの少しだけですが、両替しました。ここ以外ではまったく使うことができないので本当にちょっとだけですが。
とりあえず沿ドニエストル共和国の首都観光は満足したので、観光のハイライトであるベンデルに移動することにしました。
ティラスポリからは先程の戦争記念碑や広場のそばからトロリーバスで20~30分ほどです。
そして国の名前のもとになっているドニエストル川を渡り、ベンデルに到着しました。
まあ、見ただけでは特別な川ではない、普通の川なんですけど笑
そして1992年のトランスニストリア戦争の被害者を追悼するために建てられた記念碑。
わずか20年前にこんな悲惨な戦争があったなんて、当時何も考えていなかった子供のわたしは全く知りませんでした。
旧ユーゴ圏などもそうですが、ヨーロッパを旅行していると歴史の重みを感じます。
歴史でいえば、さらに古いのが12世紀にジェノヴァ人によって作られたものを16世紀に作りなおしたトルコの砦。
そして最後に時間帯が悪かったのか、かなり寂しげな感じのセントラルマーケット。
・・・。
きっとこの街も天気が良ければもっと活気があったんだと思います。
実際ウクライナにいた頃を思い出す寒さでしたし。
しかし本来観光で来るような場所ではありますが、なかなか来る機会があるところでもないので今回見に来ることができて良かったと思います。
そして沿ドニエストル共和国での思い出を胸にモルドヴァ共和国に戻ることにしました。
ここからならティラスポリより、キシニョフから手前になるので短い時間で帰ることができます。
国境審査も入国より出国のほうが簡単で、結局70分位でキシニョフまで戻ることができました。
さて時刻は16時半。
モルドヴァ共和国の方も他に特に行きたいところもなかったので、次の国ルーマニアに進むことにしました。
一度宿にもどって預けていた荷物を受け取り、今度はルーマニア行きのバスが出る南バスステーションに向かいます。
チケットは予約していませんでしたが、バスが出ているという情報だけをもとに結構な距離を歩いて南バスステーションに到着。
肝心のルーマニア行きですが、直前までどこを目指すか決めていなかったのですが、出発の時間と今後のルートを考えて黒海に面する街コンスタンツァを次の目的地とすることにしました。
バスの出発は19時40分。食事をしたり、余ったモルドヴァ・レイでお菓子などを買いながら発車を待ちます。
モルドヴァ、そして沿ドニエストル共和国。
わずか1泊の短い滞在でしたが、特にモルドヴァの首都キシニョフは楽しかったです。
食事もワインも美味でしたし。
たとえ滞在期間は短くてもとても印象深かったです。
次のルーマニアはモルドヴァほどマイナーではありませんが、野良犬が多いことで有名なのでまだまだ気を抜かずに、気をつけて旅行を続けたいと思います。