昨日、一昨日は天気もそんなに良くなく、たぶんちょうど疲れも溜まってきている時期でもあったと思うので、いまいちテンションも上がらなかったのですが、今日は朝から天気も良好です。場所も変わることですし、心機一転清々しい気持ちでいけそうです。
というわけで今日移動するのはナザレ。キリスト教徒ではないわたしでも知っているような有名な土地で、ベツレヘムで生まれたイエスが幼少期から伝道活動をはじめるまで、生涯の大半を過ごした場所として知られています。
ティベリアからはバスで1時間弱という距離なのでそれほど長い移動でもありませんでした。一応宿は予約していたので、ナザレ到着後まず荷物を置かせてもらい、早速観光に出かけることにしました。
現在のナザレは街自体の規模は小さく、キリスト教徒の巡礼者が多数訪れる宗教都市といった感じですが、イスラム教徒に支配されていた期間も長かったため住民にはイスラム教徒も少なくありません。おみやげ屋にはキリスト教の巡礼グッズなどが売られていますが、旧市街には小さいですがスークもあったりと、キリスト教とイスラム教とが共存しているちょっと不思議な感じのするところでした。旧市街のスークの方は観光客はそれほど見かけることはなかったのですが、個人的にけっこう散策の楽しいところだと思いました。売られているものは野菜だったり、日用品や衣料品などローカルなものもたくさんあり、規模の割に飽きずに楽しむことができました。
しばらくこの辺りの散策を楽しんだあと、この街のメインである受胎告知教会はとりあえずあとに取っておこうと思い、向かったのは聖ガブリエル教会です。大天使ガブリエルはイエスの母マリアに受胎告知をしたという伝説でよく知られており、多くの芸術家によってその主題が表現されていますよね。ナザレの受胎告知教会はカトリック教会の聖堂ですが、こちらの教会はギリシア正教会のものとして、カトリックの受胎告知教会と比較すると大きくはありませんが、巡礼者も訪れる聖堂となっています。
内部は華美ではありませんが、厳かで落ち着いた雰囲気となっていました。この教会の近くにはマリアとガブリエルがはじめて出会ったとされるマリアの井戸もあるのですが、この辺りは受胎告知教会周辺に比べると人もあまり多くなく静かなところでした。
その後訪れたのはカナというナザレからは約10キロ離れたところにある街です。このカナはイエスが最初の奇跡を行った場所として知られています。この街で行われた婚宴において葡萄酒がなくなったときにイエスが水を葡萄酒に変えたという伝説です。この奇跡はカナの婚礼として絵画の主題にも用いられています。おそらく一番有名なのはパリのルーヴルで見ることができるパオロ・ヴェロネーゼのものでしょうか。とにかくその経緯からカナもキリスト教の中では重要な街として知られているところです。
現在はこの婚礼での奇跡を記念して建てられた教会が2つあり、ひとつはフランシスコ修道会のもの、そしてもう一つがギリシア正教会のものです。残念ながら前者は行った時には扉が閉められていたので見学することができませんでしたが、後者の方は中に入ることができました。
ここではまた教会によって祝福されたワインが販売されており、12ユーロと意外とリーズナブルな価格だったため買って帰ろうか少し悩んだものの結局買わずに帰ってきてしまいました。
ナザレとカナの移動は行きはセルビスで来たのですが、帰りはバスに乗って戻りました。どちらも20~30分程度の所要時間です。
ナザレに戻ってから今日最後に訪れたところは街の中心から南に少し離れた断崖の山です。ここはイエスが突き落とされそうになったというやはりキリスト教に関連したところだそうなのですが、単純に見晴らしも良いのでイスラエルの雄大な大地を臨むために訪れたのでした。
ここから眺めた夕日は素晴らしかったです。
こうしてナザレでの一日が終わったのですが、小さい街ながらも滞在するには快適なところだったため、当初の1泊の予定を延ばし、もう一泊ここで延泊することにしました。
明日は観光自体はそれほどする予定はないのですが、のんびりとしたいと思います。